作業内容・方針
ピアノの調律・修理と一言で言っても、
その内容は多岐に渡ります。
どの様な作業をどの様な考えに依って
行なっているかをご紹介致します。

ピアノ調律

ピアノ調律の代名詞の作業です。基音と倍音の按配や余韻の広げ方等、音合わせと言ってもとても奥深い世界です。発音や感触等ピアノの状態も確認も同時並行で行い、次の作業方針を考えながら進めていきます。
鍵盤修理

鍵盤は演奏中に奏者が唯一直接触れ、動きを感じ易い場所です。故に修理をする頻度が最も多い箇所です。画像は「バランスブッシングクロス」を交換している様子です。
サポート修理

サポート(ウィッペン)は鍵盤の動きをとハンマーに伝える部品です。このサポートの発達はピアノの進化の要の一つと言えます。如何にスムーズに連打を可能にするかということが永年に渡り先人により研究されてきました。画像は「ヒールクロス」を交換している様子です。
ハンマー修理

ハンマーは弦を叩く部品です。打楽器のバチに相当します。画像は「ハンマーヘッド」を交換している様子です。新品のハンマーには穴が開いていないので、穴をあけ、ハンマーシャンクという部品に取り付けます。
ダンパー修理

ダンパーは音を止める部品です。ダンパーが無いと音は止まらず、音が混ざりすぎ、新しく出した音が不明瞭になってしまいます。画像は「ダンパーフェルト」を交換している様子です。
外装修理

外装はやはり傷み易い箇所です。そして塗装は特に下準備が大事です。丁寧に剥離し研磨を繰り返します。画像は古いニスを剥離している様子です。この後、研磨を繰り返し、下準備が完了します。
張弦修理

弦は音の発生源です。弦から発生した振動をピアノ全体で増幅してピアノの音色になります。古くなった弦は伸びを失います。また、古いピアノでは必要に応じて弦の太さの再考(弦計算)も行います。
膠

修理に当たってはなるべくピアノが製造された時代に使われていた物を 使用する様にしています。古い年代の物の接着剤には膠(ニカワ)を使用する様にしています。ニカワの良いところは強い接着力がありながら、剥がすのが容易という点です。
治具作り

ピアノの修理はほとんどの場合、同じことを88回繰り返します。この88回を全て同じ規格で行う必要があります。そこで欠かせないのが治具です。治具を使うことにより、作業が安定します。この治具作りも大事な仕事です。
道具の手入れ

ピアノの修理では鑿や鉋といった木工工具も多く使用します。日常的に使用する調律用の工具と併せて、こうした工具の手入れもしていきます。画像は刃研ぎ・口埋めした様子です。
整調

ピアノは鍵盤を下げてからハンマーヘッドが弦を叩くまで多くの部品が使われています。これらの部品がロスなく、スムーズに88鍵同じ動きをすることが必要です。こうした調整をする作業を調整と言います。弾き心地だけで無く、音色にも大きく影響します。
整音

ピアノ修理・調律の最後の過程です。弦を叩くハンマーフェルトのテンションを調整する作業です。この整音をするためにこの前に作業全てが有ると言っても過言ではないと思います。
ピアノの掃除・クリーニング

ピアノに限ったことではありませんが、物は時とともにゴミや汚れが溜まっていきます。ピアノも先ずは掃除だと思っています。綺麗に使えば楽器も長持ちしますし、さっぱりすると音も違って聴こえると思います。
接点の研磨

ピアノは鍵盤を下げてから多くの部品を経由し力の向きを変えながら、ハンマーヘッドが弦を叩き音を出しています。その際、多くの場所で摩擦が発生します。時とともにその摩擦は抵抗力を増していくので、そこを研磨し動きを復活させると弾き心地が改善します。
部品作り

部品が壊れていることは珍しいことでは ありません。多くのピアノでは部品を購入することが出来るので、新しい物に交換すれば済みますが、ピアノによっては入手出来ず、作らなければならないこともあります。画像は「ジャック」を新しく作成した様子です。
コンサートのお手伝い

コンサートのチラシやプログラムの作成、演奏音源のCD作成、演奏会進行の補助等も行なっています。